03 / PHILOSOPHY私たちが、私たちであるための前提。
一人でも多くの人が、「生まれてきてよかった」と当たり前に思える社会をつくる。その願いと、日々の判断や人への向き合い方の土台に、三つの考えがあります。
①と②は、生きづらさの背景をどう理解し、その人の人生をどう支えるか。③は、その実践と研究から得た知見を、より多くの人に届く社会の仕組みや文化へどうつなぐか。私たちのフィロソフィーは、このつながりを大切にしています。
01 / 生きづらさをどう理解するか①生きづらさを持つか持たないかは、運次第であり、自己責任論では片付けられない
生まれ育った環境や、生まれ持った特性、過去に受けた傷つき。その人が自分で選べなかった条件が、今の生きづらさに影響していることがあります。
過去の体験を通じて、自分や他者、世の中をどう捉えるかが、無自覚のうちに形づくられることがあります。危険や否定を感じる場面で、考えるより先に、緊張する、身構える、避けるといった反応が起こることもあります。かつて自分を守るために必要だった反応が、今は人との関わりや、自分が望む選択を難しくしているかもしれません。
だからこそ、表に見える行動だけでその人を判断せず、「どんな経験や環境の中で、そうせざるを得なかったのか」「今、何に困っているのか」を理解しようとします。本人の弱さや努力不足だけで片付けず、必要な理解とケアを考えることが、私たちの出発点です。
私たちの土台にある、トラウマインフォームドケア傷つきの体験が、その人の感じ方や反応、人との関係に影響しうることを理解し、安心・信頼・協働・本人の声と選択を大切にする考え方です。私たちは、この視点を支援の場だけでなく、メンバー同士や、関わる人との日々の向き合い方にも生かします。
背景を理解するためのモデルと、関わり方を詳しく読む
身体や神経の特性、感情や認知、過去の経験、家庭・学校・職場や制度。それらの相互作用を考えるため、生物心理社会モデル、社会構成主義、ニューロダイバーシティなどを参照します。
一人ひとりの経験を聴き、本人に合う関わりや環境を一緒に考えます。過去を話すことを強制せず、本人のペースを尊重します。すべての生きづらさをトラウマだけで説明するのではなく、心身の状態や現在の環境も含めて理解します。
感情や苦しさを受け止めることと、人を傷つける行動をそのまま認めることは分け、安全を守りながら理解とケアを両立します。
02 / どんな人生を支えるか②全ての命はその人のものであり、その人の命をその人が望むように生きる権利がある
授かった一度きりの命を、痛みを避けるためだけに使わざるを得ない。やりたいことがあっても、反射的な怖さや自分への否定によって、生きたいように生きられない。その構造に向き合いたいと考えています。
本人が、自分に与えられた条件や身につけてきた反応に気づき、等身大の自分を責めずに受け止められること。安心できる関係や必要な支えの中で、「自分はどう生きたいのか」を確かめ、自分の意思で選べる可能性を広げていくことを支えます。
支える側の正解や理想を押しつけず、本人の願いと選択を尊重します。休むことも、立ち止まることも、試してみることも、その人の人生の一部です。生きづらさを和らげることと、生きがいを持って自分らしい人生を歩めること、その両方を大切にします。
支援で大切にすることと、原文の言葉を読む
すでに傷つきを抱える人には、必要な理解とケアにつながる機会を。これから育つ人には、安心して自分らしく生きられる環境を。本人だけに変化を求めず、周囲の関わりや仕組みも見直します。
原文より
既に傷ついていて、困っている人には、無自覚のうちに自分が与えられたものに気づいてもらい、ありのままの等身大の自分を責めるのではなく受容し、残りの人生をいきいきと自分らしく生きていけるようなサポート機会を提供する。今まだ生まれたばかりや、傷つきも深くない人には、そのまま自分らしく生きていけるようなサポートを提供するなど、どんな前提条件を持った人でも、社会が適切な助け舟を出し、授かった命を全ての人が自分らしく生きることができる、そんな社会を作っていく一助になりたいと思います。
参照する考え方:基本的人権のエンパワメント、トラウマインフォームドなアプローチ。
03 / 知見をどう社会へ還元するか③社会変化に合わせながら、その時代に必要な叡智を創造し、より良い社会をつくる人類の叡智の創造バトンをつなぐ。
①と②の前提から、一人ひとりに向き合う実践を重ねる。そこで生まれた問いを研究し、生きづらさが生まれる構造や、どんな支えが役に立つのかについて、理解と方法を育てていきます。
分かったことを、その場だけにとどめず、事業や他の組織との協働、学びの機会を通じて、より多くの人へ届ける。そして、一部の人だけが受け取れる支えではなく、社会の仕組みや当たり前の文化として根づくことを目指します。
先人から受け取った知を、時代の変化と実践の中で確かめ、更新し、次の世代へつなぐ。今を生きる人にも、50年後、100年後、200年後を生きる人にも、自分らしく生きられる人生を届け続けたいと考えています。
①実践 → ②研究 → ③社会へ広げる → 次の実践へ目の前の一人に向き合うことを出発点に、知見を社会へ還元する。社会の中で得た学びを次の実践と研究へ戻し、循環させ続けます。
次の世代へつなぐという願いを、原文で読む
各時代を生きた先人たちがその時代における課題を解消するための叡智を生み出し、より良い社会を創り、次世代にバトンを引き継ぐ。今の物質的に豊かで安全で暮らせる社会は、このシンプルな叡智のバトンリレーのおかげで成り立っており、どのような未来を後世に託せるかは今のわたしたちにかかっていると認識しております。
私たちのフィロソフィーを支えるモデルや、背景にある考え方は、参照資料からも読むことができます。
背景にあるモデルと参考資料を読む ↗
トラウマインフォームドなアプローチの参照:SAMHSA — Trauma-Informed Approaches and Programs ↗